子供食堂の役割と問題点。さらに本質的な問題とは?

      2022/07/11

子ども食堂とは?

近年子ども食堂の数が大幅に増えていて、「あって当たり前」の状況に

なってきています。

ここでは子ども食堂について少し深掘りをしてみたいと思います。

子供食堂について

子ども食堂は東京の八百屋の店主が貧困や親の多忙からご飯を満足に

食べていない子供が増加していることを知り、経営している八百屋の

一角に子供たちが食事をできるスペースを設置したことが始まりです。



その当時「見えない貧困」が問題になってきていたことから、それが

後押しとなり、子供食堂は数を増やして、現在では全国に6000箇所

以上と言われています。




子ども食堂の良い点は


子ども食堂によって、貧困家庭で満足に食事がとれない子供やその親が

温かいできたての食事をとることができるようになり、また他の子供と

一緒に食事をすることで、「共食」の体験を通し、一緒に食事を作ったり

野菜を育てたりという実体験やコミュニケーションを通し、学びを育む

環境としても活用されるようになっています。


子ども食堂の問題点


子ども食堂を運営するにあたり、様々な問題点も見られています。


・来て欲しい人や家庭の参加

  当初の目的の通り、貧困家庭や親の多忙のために満足に食事が

  できない子供が来てくれればいいのですが、「誰でもどうぞ」と

  いう食堂の言葉があるゆえに、普通に家庭で食事がとれる家族が

  来ることも多く、中には「食事を作るのが面倒」という理由で

  食堂に来る家庭もあります。

  また明確なルールーがないために申込を断りにくい(本来必要でない

  家庭等)こともあり、トラブルになる事もあります。


・資金の確保

  子ども食堂は多くが寄付などで運営しており、利用する人数が

  増えると、食材・光熱費といった実際にかかる資金が問題となる。

  例えば、経済的に余裕の有る家庭が利用する場合、月に1000円と

  いった会費のようなものを導入することも食堂によっては考えられて

  います。

  


・スタッフの負担、スタッフの確保

  食堂を運営するスタッフはボランティアであり、利用する人数が

  増えることで、一人一人のが大きくなり、またスタッフに欠員が

  出た場合、補填するスタッフが見つからないことも多いのです。


・地域との連携

  食堂となる会場は住宅街が多く、「貧困家庭」ということで

  地域から反対されるというトラブルも見られています。

  だからこそ、地域と連携し、理解を得ることが求められます。



子ども食堂は現代社会の様々な問題を考えると必要ではあります。

ただボランティアに任せきりでは行き詰まることも多いと思われます。

自治体がそれぞれの地域に合わせて金銭的にも、場所の確保でもリーダーシップ

をとれば、安定した運営をすることが出来るのではと思います。




子ども食堂の本質的問題とは?




ここまで述べてきた問題点は実際の運営上の問題がほとんどでした。

しかし本質的な問題が残ります。

それは子ども食堂が必要だということです。


2012年に始まったとされる子ども食堂ですが、そのころから収入の格差

が言われるようになってきています。

これは子供が原因ではなく、非正規労働でしか働くことができない

社会に問題があります。


一方で裕福になる人はますます裕福になる。

しかし生活が苦しい人に対する有効な政策が国によってなされたとは

お世辞にも言えません。


今、子ども食堂に対して、自治体が支援をすることも散見されています。

しかしそれが十分とはまだまだ言えません。

本来国が国民の生活の底上げとなる政策をしっかりと打ち出すべきですが、

それがされていないことは明らかです。


そうであるがゆえに子ども食堂が必要となっているのです。

国による政策がここ10年ほど生活の苦しい庶民の側にたっていないから

現在があります。

子ども食堂があること自体、政策の欠如とも言えるのです。

一般市民のボランティアに寄りかかる国の姿勢こそ、子ども食堂の

本質的な問題と言えます。

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